地球には冬が必要で、僕らは雪が大好きだ。

雪との生活の喜びと、責任と、可能性を

もっと多くの人と共有していきたい。

 

Togetherness, Originality, Doing Good. この3つをモットーとするLIFE IS KEEN。

自分のため、みんなのため、そして、私たちが踏みしめる、この地球のために。1歩。たった1歩だけでも、きのうより外に踏み出すことができれば、毎日は変えられる。世界にポジティブな変化を求め、雪遊びの新しい魅力を発信し、 “冬を守る”活動に挑み続けるスノーボーダー、五明淳さんと小松吾郎さんに聞きました。

五明 淳さん

ATSUSHI GOMYO

板乗り/芽育”MAKE”雪板研究所所長 長野市生まれ。8歳からスケートボードで日常的に外出し、13歳からスノーボードをスタート。2014年に国内の木材を使用したスノーボードブランド『PRANA PANKS』(プラナ パンクス)を立ち上げ、スケートボードとスノーボードの経験から木板の「雪板」(ゆきいた)を開発。全国で雪板を作るワークショップを開催し、雪板を世界に広めている〈雪板〉のパイオニア。

 

小松 吾郎さん

GORO KOMATSU

プロスノーボーダー/POW JAPAN 代表理事 北海道ニセコ町生まれ。長野県大町市在住。4歳からスキーを履き、12歳でカナダ・BC州へ移住して以来スノーボードを続け、17歳でプロに。カナダ在住時、スキー場建設に反対運動をするネイティブとの出会いから、スノーボーディングと自然の関係性を再考し、POW発足以前から環境負荷の軽減などを提唱し続けてきた。2018年POW JAPANを発足する。愛犬つきちゃんとの散歩が日課。

“雪板”で遊ぶ自由と楽しさ

冬の魅力を伝えたい

 

-五明さんと、小松さんの出会いは?

 

五明さん : 中学生の時に通ってたショップでカッコいいポスターをもらって、それを部屋に貼っていたんですけど、そのポスターが小松吾郎のポスターでした(笑)。

小松さん : 僕が日本に来たのは2005年なんですけど。淳ともその頃、色々な場所で一緒に滑っていて。その時に淳が作っている「雪板」の話があって、ああこんなギア(道具)があるんだって。 最初から雪板、すごいな、面白いなって思ってたんだけど、仕事がプロスノーボーダーなので、淳から「雪板、今日最高だよ」って誘われても、「いや、俺今日スノーボードしないといけないんだよ」(笑)っていう時期が長かったですね。でも、雪板をやっている人も遊びも面白いので、自分で運営していたイベントでも、半分はスノーボード、半分は雪板の遊び場を淳に作ってもらってやっていたんですよね。

 

―雪板の魅力って何ですか?

 

小松さん : 雪板の魅力はいっぱいあるんですけど、スノーボードと違ってまず自由なんですよね。足が板に固定されていないので、自由がきくフリーな感じ。スケートボードとかサーフィンとかと似た感覚というか、やっぱり独特の感覚を得られるところですね。木に乗って遊べる感覚や、自分で作れるところは魅力的ですし、雪と板さえあればどこでも遊べる。だから日本みたいな裕福な国じゃなくても、もっと広がる可能性があると思います。

五明さん : 身近な場所で遊ぶことができるのも、雪板の面白さだと思います。公園やちょっとした庭でも、雪が積もるところなら、できるところですかね。スキー場の端っこでも遊べたり、スタートがすごい楽なんです。手軽なところが魅力だと思います。スノーボードとも木に乗るところは一緒なんですけど、ふわりとした浮遊感や、木に乗る感覚は雪板のほうが体感できると思います。

小松さん : 日本でもスキー場を開くには雪が足りないというところがある中で、雪板の中でも「スノートイ」って言う少ない雪でも遊べるジャンルもできて、パウダーじゃなくてもできる遊びが広がってきたし、雪が少なくて斜度がない場所でもすごい楽しいですよね。

 

―作っているところも楽しそうですね。

 

五明さん : 木によって乗り心地が違って、檜(ヒノキ)はとてもしなやかで、ためがあって、パーンと跳ね返ってくる。薄くしても強くて、割れないんです。樺(カバ)では短いショートデッキを作るんですけど、しっかりしていて重みがあるので、トリックだとか足にしっかりくっついてくる。なので、木の種類ごとに特性を生かして、向いている雪板を作っています。作るだけで終わらなくて、乗ってみて改良ができるんですよね。気に入らないところを削り直したり、作り直しができるところが、とても楽しいですね。

 

小松さん : 雪板という遊びはまだ始まったばかりで、めっちゃ自由なんですよ。最初の自由度ってとても面白くて、スノーボードのイベントの日も雪板チームはすごいリラックスしてコースを作っている。参加する人も、雪板をまったく初めてやりますって人が多かったりするので、雰囲気が柔らかいんですよね。遊びながら作ってるし、遊びながら教えているし。滑って転んで、ゲラゲラ笑っているし。雰囲気がいいんですよね。

 

五明さん : コースは自分で滑りながら真面目に作ってるんだけどね(笑)。もうちょっと壁を高くしないと、飛び出ちゃうよねーとかより良いコースを作るために試しながらやっていて、全然作り方のスタイルが違うんだよね。だから余計に楽しみながら作って見える(笑)。

 

等身大でできることから、

同じ思いの人たちと

 

―POWを設立したのはどんな経緯で?

 

小松さん : 僕自身はスノーボードって“自然と人をつなぐもの”だと思っていて、環境とか自然に関するメッセージを出すことをやっていて、イベントとかもそれを広めたいと思ってやっていたんです。2007年にPOWが始まった頃に代表のジェレミー・ジョーンズが撮影で白馬に来日して、日本でもPOWをやってほしいという話があったんだけど、僕は僕で自由に活動していたので、すぐに返事ができませんでした。等身大の自分でできることを続けていたんですけど、色々な人と話をしたり、考えが進んでいく中で「自分だけじゃなくて、同じ思いの人たちと一緒にやるのも意味がある」と思って。それを世界中のスノーボード好きだったり、雪板をする人だったり、雪遊びが好きな人たちと、一緒にできるのは面白くて、力になるんじゃないかなと思って、POW JAPANを始めることにしました。雪板は小さなスケール感でも楽しめて、環境負荷も小さい。だからPOWで環境のことをやっていくうえで、雪板はPOWと相性がいいと思ってました。これまでも淳とは一緒にやってきたので、アンバサダーとして一緒にやろうと声をかけた感じですね。

 

五明さん : 自分も自然や雪の世界に助けられたところもあるので、吾郎ちゃんが言う環境には興味がありました。雪がなくて、スノーボードをやってなかったら、雪板もやってなかっただろうし、こんな人生もなかった。雪への恩返しの意味を込めて、自分が関わっていくうえで、環境が変わりすぎないよう、自分でできることをやっていきたいと考えています。雪板作りも環境負荷を少なく出来るように心がけていますし、POWはちょうどいいタイミングだったかな、と思いますね。僕は、雪板自体が「環境への取り組み」につながっていると考えていて、雪板遊びの楽しさを伝えることで、雪で遊ぶ環境の大切さを伝えられればいいなと思います。雪板自体環境に直結するミニマルな遊びだと思うので、そこにつながっている。滑っていても足裏と雪面がすごく近いのでより雪を感じる。

 

小松さん : すぐ転べるの、楽しいよね(笑)。

 

五明さん : 自然を感じるということを体験して欲しくて。雪のある生活を体験して、雪山が遊び場に変わる事から「冬が短くなったり雪が減ったり、なくなったりする事は困る」って考えに移行していくじゃないですか。雪板のある生活の喜びを知る人たちをどれだけ増やすかによって、より多くの人達が自然や雪に対する感覚が変わって、環境のことを考えるきっかけになってくれればいいんじゃないかなと思いますね。

自分ができることだけじゃなく、

社会をみんなで作りたい

 

―これからやっていきたい活動は?

 

五明さん : 今年から常設パークをやっているんですけど、全国に常設パークを増やしたいですね。そこに行けばいつでも滑れるって場所がもっと欲しい。ちょっとした裏庭やスキー場の一部にでも、雪で遊べる場所をちょこちょこ作れるといいですね。

 

小松さん : POWの活動はもちろんなんですけど、単純にもっと多くの人や、自然で遊んでいる人に、環境について意識をするだけでなく、もっとまわりの人たちに思いを伝えてくれるようにしたいんです。自分は今そういう立場になっているけど、そんなに皆さんと違う感覚じゃないと思うんです。環境に限定せずに、「自分が大切だと思うことを大切にする」ということを、身近な事から始めている人って沢山いるんですよね。 それにプラスして、人に伝えるだとか、社会がもっとこうなれば仕組みとして環境を守れるよねってことが世の中には沢山あります。そういう目線をもってもらえると嬉しいですね。自分の遊び場を残していくためにも、自分のできることだけじゃなくて、社会をみんなで作りたい。みんなでやれることを、一つ一つやっていけるようになりたいですね。

五明さんは全国の「雪板」のワークショップでも活躍する自家用バスで、長野市の雪板工房から到着!! インタビューはHAKUBA VALLEY 鹿島槍スキー場にほど近い、POW JAPANの本部オフィスのある長野県大町市の小松さんのご自宅で実施しました。/真夏の光が輝く美しい中綱湖は、JR大糸線・簗場駅の正面に。冬はスノーリゾートとして賑わう仁科三湖に連なるこのエリアは、サマーリゾートとしても抜群の美しさを誇ります。/スノーボードや雪板を通じた“雪遊びの魅力”から、気候変動に挑み“地球の冬を守る”POW JAPANの活動まで、話題は幅広く、穏やかな雰囲気の中で語られました。POW JAPANのアンバサダーを務める五明さんは、小松さんと20年来の友人です。

WHAT IS 雪板?

 

自由でシンプルに、どこでも滑りを楽しむ

五明さん発案のウインタースポーツ

 

雪板(ゆきいた)とはプロスノーボーダーの五明淳さんが発案・開発した、木製ボードに乗って雪上を滑る“雪遊び道具”であり、ウインタースポーツ。スノーボードと違いビンディングがなく、自由でシンプル。浮遊感のある滑りが魅力で、本格的な雪山から庭先まで、誰でもどこでも気軽に楽しむことができます!

WHAT IS POW?

 

“地球”と“冬を守る”ムーブメント

気候変動から大切な雪山を守る

 

「POW」(Protect Our Winters)は、2007年にプロスノーボーダーのジェレミー・ジョーンズが“冬を守る”ために仲間たちと設立した団体です。気候変動が滑り手にとって大切なフィールドである雪山に大きな影響をあたえることに危機感を感じ、現在世界13カ国に広がっています。

MARCH FOR THE DAY!!

POW JAPAN&パートナーが参加!!

 

9月18日に東京・代々木公園で開催された「ワタシのミライ」に、POW JAPANが参加!! トークセッションには小松さんが参加し、五明さんも手製のプラカードでデモに参加しました。 POW JAPANはパートナーの「キーン」や「パタゴニア」「バートン」「UPLND」などと協力し、気候危機に対するメッセージを発信しました。