INTERVIEW

パタゴニア50年の集大成は、

過去と向き合い、未来への道標として制作

 

そもそも資源を使ってまで作る必要があるのか。それを考えるのがファーストステップでした。私たちは50年の間で何を学んだのか。何を続けて、何を止めるのか。一度立ち止まって考えてみることから始めました。過去と向き合い、未来への道標としてできたのが、「ナチュラル・アイコン」です。「ナチュラル・アイコン」には「私たちが未来をどう考えるか、パタゴニアは今後どんな製品作りをしていきたいのか」のすべてが詰まっています。50年間のアーカイブを『現代に作り直す』ことを考えた時、まず最初に、なるべく合成繊維を使わず、“天然素材へ転換”することを決めました。「合成繊維で作っていたレインウエアなどを、天然素材で作り直す」ために、生地にはコットン農家のオーガニックコットン認証取得を支援するコットン・イン・コンバージョンを使い、防水機能には食品産業から副産物として生まれた植物由来のワックスを共同開発して採用しています。ワックスド・コットンというのは生きていて、寒くなれば硬くなってウエザープルーフになるし、暖かくなると柔らかくなって動きやすくなる。合成繊維ではないけれども、機能もちゃんとほしいという人に、自信をもって提案できる一着です。すべてのアイテムはジェンダーインクルーシブで、どんな方にも着てもらえるスタイルにしています。「LESS IS MORE」(より少ないことで、多くのことをしよう)という考え方にもつながっていて、機能性もあり、社会正義的にも意味のあるもの。それはカスタマーに対して責任を果たすことでもあります。

 

©2023Patagonia, Inc.

マーク・リトルさん

MARK LITTLE

パタゴニア  グローバル・プロダクト・ライン・ディレクター

2012年パタゴニア入社、15年から現職。アパレル業界で23年以上の経験をもち、パタゴニアのミッションと価値観を反映した高品質な衣類を作ることに情熱を注いでいます。

 


INTERVIEW

ナチュラル・アイコンの正体は、次の50年への第一歩

「ぜひ、ストーリーを知って、仲間になってほしい」

 

 パタゴニアがその使命を「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と明確にしてから、製品作りの考え方やスピードはさらに踏み込んだものになりました。レス・ハーム(LESS HARM=より害を少なく)ではなく、地球を再生することに社会的にも環境的にも責任があるという立場で。50年目の節目を迎えた第一歩のコレクションが、「ナチュラル・アイコン」の正体です。「ナチュラル・アイコン」にはコットン・イン・コンバージョンのような農業改革を実現する素材や、すでに地球上でゴミになり自然界を汚している製品を再生した素材を採用しています。パタゴニアらしいデザインを、とにかくとことん面白く引っ張りだして、過去にも未来にも通じるタイムレスな製品にしています。一見すると「過去の名作の再現」にも見えますが、その内実は天然素材でも合成繊維以上の高い機能を発揮したり、素材や製品のクオリティでも環境・社会への負荷軽減の面でも、以前にはなかった妥協のない素晴らしいアイテムができています。アニバーサリーというとどうしても過去を振り返りがちになりますが、パタゴニアの50周年は「これまでを大切にしながら、ネクスト50をお祝いする」という考えかたです。「私たちは次の50年を、こういうビジネスで、こういう繁栄をしていくんだ」という決意表明でもあり、メッセージでもあります。

細野 雅子さん

MASAKO HOSONO

パタゴニア日本支社 マーチャンダイジング

海外勤務を経て、2016年パタゴニア日本支社入社。グローバルと日本のユーザーを繋ぐマーチャンダイザー。「コンセプトはもちろんですが、製品の機能や細部へのこだわりはパタゴニアの魅力!ぜひ、アウトドアで体感してください」と語ります。